最近、極度の疲労や頭痛、うつ状態、微熱、原因不明の肉体的障害といった検査データに出ない未病の患者の来院が増えている。
症状は多々あるが、共通しているのが仕事で一日中パソコンを使っているとのことだ。
そして、今は仕事が忙しくはないが、数ヶ月前位まで、寝る暇もなく忙しかったという事も共通している。
パソコンの導入が進み、画面上の細かな数字を目で追いながら、長時間同じ姿勢を強いられることによって起きる慢性的な疲労が原因ではないかと思う。
上記のような症状が出る前に、疲れ目、肩や首の痛みなどなかったか聞くと、「そう言われればあったかも」と、症状が酷くならなければ、気が付かないくらいパソコンにのめり込んでいるようだ。
VDT障害は、初めは目や肩などの疲れとして障害が現れる。(ここで、身体の不調に気づいて治療をすればひどくならずにすむ。)
さらに進むと頭痛、精神的な疲労が目立つようになる。
個人の意見として、パソコンは、脳の視覚野の疲労だけでなく、前頭葉・海馬など、さまざまな領域の個々の神経細胞に影響を与え、神経伝達がうまくいかず多種多様の病状として出てきているように思う。
数年前に起きた、ピカチューのアニメで子供たちがてんかん等を起こしたことがあるが、パソコンにより、これの弱い刺激を長時間受けて、慢性化され、後に慢性頭痛やうつ等の症状としいて出てくるのではないかと考えている。
依存症では、疲れも忘れて操作に打ち込むため、過労からうつ状態になったり、人間関係がうまくいかなくなったりする。
VDT作業による慢性疲労は、不眠や人間関係の不調といった精神面の障害につながることも確認されている。
うつ状態は、不眠や日中の眠気など睡眠リズムの乱れからも起こる。
インターネットのホームページの検索のように情報を追いかける作業は、データ入力と同様に集中力と注意力が必要で、精神面でも消耗は激しい。
それを深夜から未明にかけて何時間も続ければ、過労に近い状態になるのは当然だ。
仕事でパソコンを使っている人は、家に帰ってからもパソコンにのめり込む。「パソコンがない生活は考えられない」と言う。
ところが患者のほとんどは「パソコン中毒」「ネット中毒」に気づいていないのが現状だ。